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上上吉諸白商い

上上吉諸白商い
江戸入(いり)を急ぎしに、暮(くれ)て、行く當所(あてど)もなければ。東海寺門前に、一夜を明(あか)しけるに。其(その)かた陰(かげ)に、薦(こも)かふりて、非人、あまた臥しければ。春も浦風あらく、浪枕(なみまくら)のさはがしく。目のあはぬ夜半まで、身の上の事共、物がたりするを聞(きく)に。皆、筋なき乞食(こつじき)、壱(一)人は、大和の竜田の里の者。すこし酒造りて、六七人の世を、楽ゝとおくりしに。次第にたまりし金銀、取あつめて、百両になる時。所の商(あきなひ)まだるく。万事うち捨て、爰(ここ)にくだるを。一門残らず、したしき友の、色々申て、と(止)めける。我(われ)無分別さかんにまかせ。呉服町の肴棚(さかなたな)かりて、上上吉諸白(もろはく)の、軒ならびには出しけれども。

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鴻の池、伊丹(いたみ)、池田、南都、根づよき大木の、杉のかほりに及びがたく、酒元手を皆水になして。四斗樽の薦を身に被(かふ)りて」古郷(ふるさと)の竜田へ、もみぢの錦は着ず共、せめて、新しき木綿布子(もめんぬのこ)なれば、かへるにと、男泣して、是に付(つき)ても、仕付(しつけ)たる事を止むまじき物ぞ、といふ程よろしからず、よい智恵の出時はもはやおそし。(「日本永代蔵」 井原西鶴) 京の大店に生まれた放蕩息子が、家を追われて、江戸の下った時、聞いたという話です。

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2008年03月25日 05:19に投稿されたエントリーのページです。

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